ロシア語独学②:文法カテゴリー

ロシア語を学ぶときに避けて通れないのが 数・性・格 という文法カテゴリーです。これらは単語の形を大きく左右し、正しい表現を作るための土台となります。ここではそれぞれを分かりやすく整理してみましょう。


1. 数(単数と複数)

ロシア語には 単数(единственное число) と 複数(множественное число) の区別があります。

  • 単数 … ひとつのものを表す(例:стол = 机)
  • 複数 … 複数のものを表す(例:столы = 机たち)

特徴的なのは、名詞だけでなく、形容詞や動詞も数によって形を変えるという点です。

  • 名詞:студент → студенты
  • 形容詞:новый стол → новые столы
  • 動詞(過去形):он писал → они писали

このように、文中の語が数に合わせて変化することで、文全体の統一感が保たれます。


2. 性(男性・女性・中性)

ロシア語の名詞には必ず 文法的性(род) があり、主に 男性・女性・中性 の3種類に分かれます。

  • 男性(мужской род):多くは語尾が子音で終わる(例:стол, друг)
  • 女性(женский род):語尾が -а / -я で終わる(例:книга, неделя)
  • 中性(средний род):語尾が -о / -е で終わる(例:окно, море)

また、形容詞や過去形の動詞も、この性に合わせて変化します。

  • Новый стол (新しい机, 男性)
  • Новая книга (新しい本, 女性)
  • Новое окно (新しい窓, 中性)

性は意味上の性別と必ずしも一致せず、文法的に決まっていることが多いので、名詞と一緒に性を覚えることが大切です。


3. 格(主格・対格・生格など)

ロシア語文法の最大の特徴といえば、格(падеж) です。
名詞・形容詞・代名詞などは、文中での役割によって形を変えます。

ロシア語には 6つの格 があります。

  1. 主格(именительный падеж) – 主語を表す
     例:Это книга.(これは本です)
  2. 生格(родительный падеж) – 所有や否定を表す
     例:Нет книги.(本がない)
  3. 与格(дательный падеж) – 受け手を表す
     例:Я дал книгу другу.(私は友達に本を渡した)
  4. 対格(винительный падеж) – 直接目的語を表す
     例:Я читаю книгу.(私は本を読んでいる)
  5. 造格(творительный падеж) – 手段・道具を表す
     例:Я пишу ручкой.(私はペンで書く)
  6. 前置格(предложный падеж) – 前置詞とともに場所や話題を表す
     例:Я думаю о книге.(私は本について考えている)

このように格変化によって文の意味が正確に伝わるため、語順の自由度が高いという特徴があります。


まとめ

  • :単数と複数があり、名詞だけでなく形容詞や動詞も変化する
  • :男性・女性・中性の3つがあり、名詞と一緒に覚えることが大切
  • :6種類あり、名詞や形容詞の語尾が変化して文中での役割を示す

ロシア語学習においてこれらの文法カテゴリーを理解することは、正確な文を組み立てる第一歩です。最初は複雑に見えても、慣れてくると「パズルのように組み合わせて意味を作る」楽しさが見えてきます。

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