ロシア語を学ぶときに避けて通れないのが 数・性・格 という文法カテゴリーです。これらは単語の形を大きく左右し、正しい表現を作るための土台となります。ここではそれぞれを分かりやすく整理してみましょう。
1. 数(単数と複数)
ロシア語には 単数(единственное число) と 複数(множественное число) の区別があります。
- 単数 … ひとつのものを表す(例:стол = 机)
- 複数 … 複数のものを表す(例:столы = 机たち)
特徴的なのは、名詞だけでなく、形容詞や動詞も数によって形を変えるという点です。
- 名詞:студент → студенты
- 形容詞:новый стол → новые столы
- 動詞(過去形):он писал → они писали
このように、文中の語が数に合わせて変化することで、文全体の統一感が保たれます。
2. 性(男性・女性・中性)
ロシア語の名詞には必ず 文法的性(род) があり、主に 男性・女性・中性 の3種類に分かれます。
- 男性(мужской род):多くは語尾が子音で終わる(例:стол, друг)
- 女性(женский род):語尾が -а / -я で終わる(例:книга, неделя)
- 中性(средний род):語尾が -о / -е で終わる(例:окно, море)
また、形容詞や過去形の動詞も、この性に合わせて変化します。
- Новый стол (新しい机, 男性)
- Новая книга (新しい本, 女性)
- Новое окно (新しい窓, 中性)
性は意味上の性別と必ずしも一致せず、文法的に決まっていることが多いので、名詞と一緒に性を覚えることが大切です。
3. 格(主格・対格・生格など)
ロシア語文法の最大の特徴といえば、格(падеж) です。
名詞・形容詞・代名詞などは、文中での役割によって形を変えます。
ロシア語には 6つの格 があります。
- 主格(именительный падеж) – 主語を表す
例:Это книга.(これは本です) - 生格(родительный падеж) – 所有や否定を表す
例:Нет книги.(本がない) - 与格(дательный падеж) – 受け手を表す
例:Я дал книгу другу.(私は友達に本を渡した) - 対格(винительный падеж) – 直接目的語を表す
例:Я читаю книгу.(私は本を読んでいる) - 造格(творительный падеж) – 手段・道具を表す
例:Я пишу ручкой.(私はペンで書く) - 前置格(предложный падеж) – 前置詞とともに場所や話題を表す
例:Я думаю о книге.(私は本について考えている)
このように格変化によって文の意味が正確に伝わるため、語順の自由度が高いという特徴があります。
まとめ
- 数:単数と複数があり、名詞だけでなく形容詞や動詞も変化する
- 性:男性・女性・中性の3つがあり、名詞と一緒に覚えることが大切
- 格:6種類あり、名詞や形容詞の語尾が変化して文中での役割を示す
ロシア語学習においてこれらの文法カテゴリーを理解することは、正確な文を組み立てる第一歩です。最初は複雑に見えても、慣れてくると「パズルのように組み合わせて意味を作る」楽しさが見えてきます。